2006年5月23日 (火)

父の苦悩 その1

母がくも膜下出血を起した日は日曜日で、父がちょうど床屋から帰ってきたところだった。母は激しい頭痛で足をばたばたさせ、何度も吐いていたというのに、父は救急車を呼ばなかった。
救急車は呼ばないで!と母に言われたからだ。

前回、入院したときも、救急車を呼ばずに父の車で病院へ行った。
そのことを私も弟もすごく怒ったのに、今回もまた救急車を呼ばなかったのだ。
近所の目を気にしているのか何だか知らないが、どうして呼ばないのか。

実家は細い路地沿いにあるため車が入れない。
つまり、車が通れる道路まで母は父に支えられながら30mほど歩き、また病院に着いてからも駐車場から受付まで歩いてしまったのだ。

日曜日だったので、あらかじめ病院に電話をしておいたものの、救急車ではなかったせいだろう。救急とは思われず看護婦さんがなかなか来てくれなかったらしい。
「ストレッチャー持ってきます。」「車椅子持ってきます。」
と言いながらどこかへ行ってしまい、なかなか母を運んでくれなかった。
それを父はすごく怒っている。
「あの看護婦は、どうしようもないんだ。看護婦失格だ!」

それを、母のベッドの横で大声で話す。
「ちょっと、辞めてよ。ここは病院だよ。看護婦さんに聞こえるでしょ。」
「ここの看護婦の話じゃないんだから、いいんだ。」
おいおい、場所の問題じゃないだろう。
別の病院の話とはいえ、ここも病院なのに看護婦さんの悪口を言うなんて。
失礼にもほどがある。

「救急車を呼ばなかったから、そういうことになったんでしょ。」
と言っても、
「救急車を呼んだって同じなんだ。どうせ同じ病院へ行ったんだから。」
という。

これ以上言っても無駄なので責めないが、まったくあきれてしまう。

昔から父は頑固だったが年を取ってから更に頑固になってしまった。
救急車を呼んでいれば、後遺症ももっと軽かったかもしれない。
今回はくも膜下出血。
動かしたせいで頭の損傷が大きくなってしまったのに、それも理解できないらしい。

そういえば、母が手術する前に先生からの説明を受けたときも、なぜか「入院のしおり」を読み続けていた父。そこには、入院に必要なスプーン、パジャマ、タオル、の説明が掲載されていた。そんなの今読んでる場合じゃないんだよ。とあきれていたが、今から思えば、頭の手術なんて複雑な話をされて、先生の説明を消化し切れなかったのだろう。危険を伴う手術だったので、向き合う事が怖かったに違いない。

近所の目を気にして、救急車を呼ばない。
病状を説明されても、複雑すぎて理解できない。
重大な事に向き合えない。
指摘されても、プライドが邪魔して言う事を聞けない。

弟が同居しているとはいえ、母と一緒にいる時間が一番長いのは父なのだ。
もうちょっと、しっかりしてもらわないと。
母が退院したとしても、問題が山積みである。
あー、いったいこの先どうなることやら。
やれやれ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年4月19日 (水)

消えた見舞金

ヒデコ姉ちゃんからメールが来た。
先日マサオおじさんがお見舞いに来たとき、お母さんの枕元にお金を置いたらしいけど、そのお金に気づいた?という問い合わせだった。

ええええっ。何だって~? 
やだー、黙ってお金なんて置いてかないでよ~。
お母さんは記憶がないんだから~!
あわてて、父に電話してベッドの周りを確認してもらったが、やはりお金はどこにもないと言う。母にも確認してみたが「お金はもらってない。」と言ったそうだ。
おいおい、お母さんに聞いてどうする。記憶がないから騒いでるのに。

日曜日、マサオおじさんが来た1時間後くらいに私も病院へ行ったが、お金には全然気づかなかった。
それに、ベッドを起こしてお茶を飲ませたりしたので、その拍子にベッドの下に落ちた可能性もある。
母はリハビリや風呂でベッドからいなくなるときも多い、ベッドメイキングもされているだろう。今日はもう水曜日、お金が残っているわけがない。
しかも、病院には「最近、盗難が増えているので貴重品を病室に置かないでください」という張り紙まで貼ってあるのだから。

なんでも、父に渡したお見舞金とは別に、マサオおじちゃんの奥さんが母の枕元にお金を置いたのだという。
前回もお見舞金とは別にパジャマやお菓子を持ってきてくれた。今回は手土産がなかったのを気にしたのだろう。これで病院で必要なものを買ってね。と言って母にお金を渡したそうだ。

マサオおじちゃんたちは、母が記憶をなくすことを知らなかったのだ。
今の母は、聞かれたことには答えることができる。
一見まともそうに見えるから渡してしまったのだろう。
まさか、すぐ忘れるなんて夢にも思わなかったに違いない。

母の体はどんどん回復してきているが、記憶ができない。
他の人の体験談などを読むと、やはり物忘れなどの症状が残る人も多いようだ。
これから家に帰ることができても、火の始末などの心配が残る。

さすがの父も心配になってきたらしい。
やっぱり、IHとかにしたほうがいいのかなー。
石油ストーブも止めた方がいいかなー。
めずらしく困った顔をしてつぶやいていた。

そうだよ。この際どんどん変えた方がいいよ。
物干しの階段もやめて、物置も直してよ。
お母さんが家に帰れることを思ったら、それくらいどってことないでしょ!
どんどん注文をつけてしまった。
がんばれ、お父さん。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年4月 9日 (日)

Just older

母が倒れてから、病院と実家の往復の毎日。
仕事をしていても母のことが心配で、気の休まる暇がなかった。
先週、血管れん縮の心配がなくなったと聞いてからは、気が抜けてドット疲れがでた。
知らず知らずにストレスがたまっていたみたい。

昨日、友達とBON JOVIのライブへ行った。
もしかしたら母のことが気になって楽しめないかも。
なんて思っていたが、すっごく楽しかった。
久しぶりに、歌って、踊って、騒いで、ライブの後はビールをがぶ飲み!
おもいっきりストレス発散できた。
息抜きは大切だ。

それにしても音楽ってすばらしい。
しかも人気のあるアーティストには、それだけの理由がある。
多くの人を楽しませ、癒し、幸せにしてくれるのだから。

BON JOVIのボーカルjohnは、今年で43歳! 
とてもその年には見えない。すごくエネルギッシュでカッコイイ!
BON JOVIの歌の好きなところは、ノリの良いサウンドと、何度聞いても飽きないメロディー。そして、何事にも前向きで、あきらめず夢を追いかける姿勢だ。
なかでも私が好きなのはJust olderという曲。

― JUST OLDER (抜粋) ―
I like the bed I'm sleeping in, It's just like me, it's broken in
It's not old -- just older
Like a favorite pair of torn blue jeans, this skin I'm in it's alright with me
It's not old -- just older

今寝てるベッドが好きなんだ。使い込んでいて、まるで俺みたい。
古くはないよ、ちょっと年をとっただけさ。
お気に入りのやぶけたジーンズみたいに、この体もけっこう気に入ってる
老いたわけじゃないよ、ちょっと年をとっただけさ。
- - - - - - - - - - - -

この曲の良いところは、なんていうか無理をしていない。
等身大の自分を受け入れ、胸を張って生きていこう。
っていうところが大好きで、励まされる。

私もBON JOVIと同じ世代の41歳。
ちょっと年を取ったなーって感じる事も多いんだけど、
いつまでも Im not old just older と言えるよう格好良く生きたいものだ。

一緒に行った友達のお父さんも、去年大きな病気をした。
よく聞いてみると、胸部の動脈瘤だったという。
動脈瘤って、脳だけじゃないんだ。

私の友達には親が、血管の病気になっている人がとても多い。
みなひとごとではなくなっている。
昔は、仕事の話や恋愛の話しかしなかったのに、今は親の病気の話や健康の話に花が咲く。そういう年齢になったんだなー。

昔みたいにヘラヘラ笑っていられる年ではないんだー。
なんて、今さらながら思うけど、どんな状況になっても「前向き」な自分でいたいと思う。
いつまでも Im not old just older と言えるように。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年4月 3日 (月)

動脈瘤は遺伝する?!

手術後2日目の朝の出来事だった。

朝、夫がベッドから出たとたん腰がぬけたようになり、床に崩れ落ちるように座り込んでしまった。
「足に力がぜんぜん入らない。」
夫も困惑した様子で座り込んでいる。

朝起きて体のどこかが動かない―。
それって、脳に何か起きているんじゃないの?
どうしよう ―。
お母さんが倒れたばかりなのに、夫まで何かあったら。
オロオロして救急車を呼ぼうとしたほどだった。
でも、夫は大丈夫だというので、少し様子をみることにした。

その後、しばらくしたら立てるようになり、私の肩につかまりながらやっと一階のリビングに下りた。
それでも、めまいがひどくフラフラ状態。夫は大丈夫と言うが、おとといの母のことが頭から離れない。何かあってからでは遅い。
そう説得して、歩いて3分の市立病院へ行き、脳神経外科を受診した。

診察室へ入ると、先生が夫の歩く様子を足の先からじっと見つめている。
朝から足に力入らずフラフラする。起きたときは腰も立たなかった。そう説明するが、脳に問題はないと、先生は言う。
脳に問題がある場合は、両足ではなく、必ず片方だけに症状がでる。
朝、歩けなかったのは自律神経失調によって、血液がうまく流れなかったせいだというのだ。
つまり心配はいらないので、めまい止めの注射でも打って、お帰りください。
って感じだった。

夫は、たいしたことないのに大げさに総合病院に来てしまったことが恥ずかしいのか、私の母がクモ膜下出血で手術をしたばかりで、とても心配するので念のため来ました。
言い訳のようなことを言う。
すると先生は、びっくりした顔で私を見て
「お母さん、クモ膜下出血だったの?」と言う。
はい。おととい手術しました。と答えると、興奮した顔でこう言う。

親が動脈瘤を持っている場合、子供は20%の確立で持っている。一般の人が動脈瘤を持つ確立は3~5%なので、比較すると確立が高い。
先生は肝心の患者である夫そっちのけで、私に動脈瘤やクモ膜下出血の説明をしてくれる。母の手術前に、説明を聞いたばかりなので知っている知識ばかりだったが、遺伝性があることは知らなかった。

まあ、奥さんは若いので大丈夫でしょう。だいたい40代から50代になる人が多いんです。
え?40歳なの? 
そう、一度検査してみるといいかもしれない。
そう言いながら、先生の顔には「今すぐにでも検査したい」という表情がにじみ出ていた。

クモ膜下出血は死亡率が高いので、名前こそ有名な病気だが、発症率はそれほど高くない気がする。年間、人口10万人に対して約12人に発症するらしい。
ただ、未破裂動脈瘤となると、100人に1人は持っているといわれている。
脳ドックでたまたま見つからない限り、気づかない人も多いのだという。

ありそうで、なかなかない事例として、医者として検査をしたいという気持ちはわかるが、自分の中にも動脈瘤があるかも?と想像すると複雑な心境だ。

お母さんが落ち着いたら、脳ドックを受けなければ。
弟にも、脳ドックを受けるよう教えてあげた。
その前に、三大成人病保険に入った方がいいんじゃない?なんて夫は言う。

なんだか、余計な心配事が増えてしまった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)